「噛み合わせ」、が脳に与える影響

アルツハイマー病原因 かみ合わせ悪いと増殖
岡山大教授らラット実験 予防や治療へ成果

かみ合わせとアミロイドβの関係
かみ合わせとアミロイドβの関係
森田学教授
森田学教授
江国大輔助教
江国大輔助教

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授(予防歯科学)と江国大輔助教(同)らの研究グループは、歯のかみ合わせに異常があると、アルツハイマー病の原因といわれるタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」が脳の海馬で増殖することを、ラットによる実験で突き止めた。認知症の一種であるアルツハイマー病の予防や治療につながる成果として注目される。米神経科学誌の9月号に掲載された。

 ラット18匹を、(1)奥歯を削ったかみ合わせ異常(2)かみ合わせ異常を4週間後に治療(3)正常―の3群に分けて実験。8週間後、脳で記憶をつかさどる海馬に発現したアミロイドβの量を特殊な薬品を使って測定した。その結果、異常群のアミロイドβの量は正常群の約3倍に増加していることを確認。一方、治療群は正常群とほぼ同じ量だった。

 さらに、かみ合わせが悪いと、脳内のストレスや神経細胞の自滅(アポトーシス)が増えていることも判明した。

 研究グループは、かみ合わせ異常が身体にストレスをもたらしたり、記憶障害を引き起こすといった既存の研究成果に着目。アルツハイマー病とかみ合わせとの関係を明らかにする狙いで実験に取り組んだ。

 国内におけるアルツハイマー病の推計患者数は約100万人。高齢社会により、今後も患者数が増えると予測されている。

 江国助教は「かみ合わせが悪いと、ヒトでも認知症が悪化する可能性が高い。脳神経分野の医師らと連携し、治療や悪化予防に成果を役立てたい」としている。

(2011/9/16)

パール歯科医院
パール歯科医院