今、世間では「歯科医師過剰」が声高に叫ばれているので、それに答えて厚労省が行った対策が・・
「歯科医師国家試験」合格率抑制策。
とにかくこの試験が難しくなっているらしい。
歯科大学を卒業しても国家試験に合格出来なければ「歯科医師」になれないので、合格する人の数を少なくすれば「歯科医師過剰」問題はやがて収束に向かうだろう・・ ・・
いやはや、ホンマに「官僚」の典型的発想だと感じ入ります。
で、まぁこの施策が功を奏してこのところの国家試験の合格率は平均70%前後・・くらいですか?
国は、これをさらに難しくしていく方針らしいです。
30年くらい前、私らが大学を出たころではこんなものに「落ちる」人は余程ウンの悪い人か、はたまた試験を某に振るくらい学生時代に「自由を貫き通した」人、に限られておりましたが今では大きく事情が変わり、かつてのいわゆる「資格試験」から「選抜試験」へと捻じ曲げられてしまったようです。
このような事情から、街では歯医者も一杯あるし、高い授業料はらって6年間も大学行って、挙句国家試験も合格できなくて・・と言うようなことから歯科大学、歯科医師の人気は「急降下」チウ。
そして大学へは優秀な人材が集まらないのでさらに国家試験の合格率が下がる・・という悪循環。
しかし、コレだけは絶対に言えますが難しい国家試験に合格してきたからその人に歯科医師としての「センス・適正」があるのか、と言えば全くの無関係です。
個人的な感覚から言えば、むしろあまり「適さない」人材だけが「難関の国家試験」を乗り越えてくるような、そんな気がしてなりません。
もともと大学を出て初めて「現場」にでるような新卒歯科医師にとって、国家試験に出るような「重箱の隅をつつくような」マイナーな知識など必要なく、本当に身に着けていないとイカンのは「立体的な空間を識別出来る能力」と「思い通りに手を動かせる能力」。。
その辺に転がっている木のきれっぱしから鳥や魚の姿を削りだせる能力、複雑な塗り絵を精密に塗り分けられる根気よさ。
いわゆるそう言うような、有る意味「芸術的」な能力です。
他の「学問」は働きながらでも習得は十分に可能だが、このような基本的な資質はほとんどが生まれながらのものなので、後で教えてもらってゆっくりと・・というのはまず不可能だと思いますよ。
歯科大学の入学試験でも、卒後の国家試験でも、一番注目しなければならんのは学生たちのこのような能力だと私は思っています。
これは手術を日常的に行なう外科医師でも全く同じだと思うけど、彼らお医者さんは現場に出てからでも自分の適性に応じて、脳外科医や内科医・・小児科医や精神科医・・へとその専門を後で「選択」出来るのですが、歯科医師はもう「歯科医」をするしかないのですね、適正があろうと無かろうと・・。
そしてその結果、私は毎日患者さんのお口の中を眺め廻して・・「?????(無数のはてなマーク)」が飛び交うのですが、・・・「なんでこうなん?」「なんでこうなってるの??」、というわけです。。
わたしが見て思うのは、(上手い、ヘタではなく)本当にセンスのある歯科医師の手による治療、というものは20回に一度、有るか、無いか・・です。