最近テレビや週刊誌などでも時々、取り上げられるようになってきましたので歯医者での「マイクロスコープ」というものも少しずつ、皆さまに知られるようになってきた感じです。
マイクロスコープ、とは「手術用顕微鏡」のことで、細胞や人体組織などを観察する「生物顕微鏡」ではなく、「実体顕微鏡」と呼ばれるもののことです。
一般のお医者さんの世界では脳神経外科や眼科などを中心にもうかれこれ4,50年前から使われているのではないかと思いますが、私たちの「歯科」の分野ではまだまだ、全然馴染みのない「器械」なのですね。
さて、パール歯科医院ではその必要性を感じて今から4年前に導入いたしましたが、本格的に日本に紹介されて未だ、10年経つかたたないか・・というのが実態です。
顕微鏡を覗きながらの歯科治療、というものはそれはそれは、大変な難しさがあるのですが一旦その「味」をしめると、無くてはならないものすごく大切な役に立つ「道具」になります。手放せなくなります。
で、何が難しいかというと、本来私たち歯医者は治療を行なう時自分の目で見えるように、身体を傾けたり、首をひねったりして直したい部分を「覗き込む」習性があるのですが、マイクロスコープを使った治療ではその手は使えません。
「マイクロ」の場合全て・・というか、ほとんどの治療ではデンタルミラーという小さな「鏡」に写った「反射像」を見ながらの治療、処置となるのです。
その代わり、とても明るくて大きく拡大された術野(治療部位)を見ることが出来るのでソレはそれは、ものすごく快適であるわけでありまして、この安心感は何物にも変えがたいのですよ。
しかし、・・・この快適な画像はミラーに反射されて映ってきているので、治療をするさいの手の動きはすべて「逆」になります・・・。
コレ、どうするか・・・練習と慣れ、しかないですよね。
従いまして、このもの凄いマイクロスコープを買ってもその日からすぐに「役に立つ」という簡単な代物ではないわけで、人によっては1年くらいの練習期間では使い物にならないかも知れません。
そしてマイクロスコープを使った「超・精密な治療」になればなるほど、時間もかかってしまいますので、使いこなすのが難しい上に、買うための金は掛かるは時間はかかるは、儲けも出ないわ・・では今の日本の歯医者さんがよろこんで手に入れようとは思わないかも知れない・・ってのも事実です。
ですが、わたしの実感としては本当に歯科医師が手先の細かな精密治療のプロだ、とそう言いたいのであればマイクロスコープを使わない治療なんて有り得ないです。
歯科の分野で、人間の「目」だけで行なえる治療なんてたかが知れています。
そして今の日本の患者さんも、その「たかが知れた」治療の恩恵??にあずかって数年ごとに治療のやり直しを経験され、・・・こんなもんかな?、と妙に納得されているのが現状であるのかな、と妙に納得しているパール歯科医院のわたくし、でございます。
わたしはマイクロスコープを使った歯科診療の出来る事を「誇り」に思い、またもの凄く「感謝」しています。・・・リース代、後もうちょっと(笑)